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WPC処理による金型表面改質特性

金型の表面に結晶粒径ほどの微粒子を高速で衝突させると、結晶一つ一つに対して、極短時間の熱処理効果と鍛錬効果の繰返しが同時に行われ、高い圧縮残留応力の付与、加工硬化による表面硬さの向上、マイクロディンプルによる摩擦抵抗の低減、応力集中源の緩和効果を得ることができます。又、放電・ワイヤカットおよび熱処理などで最表面層に異常層が存在する場合は、それらの除去・改質も行います。

表面異常層の除去

切削、研削、研磨、放電・ワイヤカットおよび熱処理などにより生じた異常層は、金型の製作工程で必ず除去されていますが、 複雑形状部・深穴部などは研磨・手磨きでの除去は難しく、確実に異常層除去処理されているかどうか問題になります。WPC処 理では微粒子の選択と処理条件を設定する事により、異常層を残存させること無く、確実に除去できます。

放電加工後の表面性状の変化 切削工具加工後の表面性状の変化

表面組織の変化

金型表面にWPC処理を行うと、金型表面の残留オーステナイトの加工誘起マルテンサイト変態や高転位密度の加工硬化層の付 与により、結晶を微細化し、表面の内部圧縮残留応力を高め、高硬度で靱性に富む組織が得られます。この改質層は破壊の起点となるマイクロクラックの発生・進展を著しく低下させて、疲労強度を格段に向上させます。

SKH51の組織変化

SKH51焼入れ、焼き戻し品にWPC処理を行うと、表面から約10μmの組織が微細化し、マルテンサイト化する。表面硬度は810Hvから1200Hvに上昇し、表面の内部圧縮残留応力も300Mpa から1400Mpa となる。

SKH51の組織変化

SKD11の組織変化

SKD11焼入れ、焼き戻し品にWPC処理を行うと、表面から約10μmの組織が微細化し、粒界マイクロクラックも消滅している。表面硬度は700Hvから1000Hvに上昇して、表面の内部圧縮応力も200Mpa から1100Mpa となる。

SKD11の組織変化

表面の圧縮残留応力と硬さの変化

表面の圧縮残留応力と硬さの変化

WPC処理の採用例

ダイカスト金型の長寿命化

ダイカスト金型にWPC処理の適用は、表面の酸化膜や異常層を除去し、表面に圧縮応力を付与して、マイクロディンプルを形 成し、熱疲労強度、湯流れ性、離型性を向上させる目的があります。又、金型に仕上げ放電加工を行った場合、複雑形状部・深穴部などは、磨き作業が難しく、加工変質層や引張残留応力を残存させることが多いですが、WPC処理を単独あるいは複合的に行えば、すべて圧縮応力に変換されて、耐ヒートチェック性を著しく向上させます。

SKD61イオン窒化品の組織変化

SKD61イオン窒化品にWPC処理を行うと、組織が微細化し、表面の化合物層も除去され、内部拡散も行われます.表面硬度は900Hvから1300Hvに上昇し、表面の内部圧縮応力も500Mpaから1450Mpaとなります。
現在、ダイカスト金型において窒化処理が一般的になっていますが、ヒートチェックに対して表面の化合物層が悪さをするため、これを除去します。又、溶損に対して、特に高温の場合は窒化+WPC処理+ コーティングにて飛躍的な効果を得ることができます。

鍛造金型の離型性と成形加工品質の向上

鍛造金型での最終表面仕上げ面は、金型と成形素材との離型性、成形品の外観や金型の寿命に大きく影響します。
WPC処理では、金型の材質、硬度、前処理での表面性状(放電・ワイヤカット面、ツールマーク)の表面粗さを考慮して、微粒子材の選択と加工条件を設定して、金型の表面改質(疲労強度・潤滑性向上)を行います。又、オカノブラスト独自の技術であるOSR処理では、最終表面粗さを自在にコントロールして、様々な鍛造金型の摺動部の低摩擦性やなじみ性をさらに向上させる事が可能です。

潤滑皮膜処理(PIP処理)

潤滑皮膜処理(PIP処理)

微粒子による複合的なWPC処理では、多彩な微粒子材の材質、硬さ、粒径などの特性を十分に活用できます。これらを組み合わせた複合WPC処理の金型への応用として、強靭、靱性、そして金型自体に潤滑性能を付与する処理ができる新しい表面改質法です。
これは、微粒子が被処理表面で発熱効果があることを活用して、微粒子材成分を拡散浸透効果に応用した処理方法です。事例として、スズの微粒子を高速衝突させると、被処理表面でスズが酸化スズ(SnO2)となり、耐熱性、耐酸化性および潤滑性を有する皮膜を形成します。一般的に絞り金型、ファインブランキング金型、アルミ鍛造金型、温熱間鍛造金型などでは使用されています。

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