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What's WPC? -WPC 処理とは?-

Wonder Procsee Craft(不思議な、驚くべき工程の特殊技術)またはWide Peening and Cleaning(幅広く打ちつけて清掃する)

WPC処理は目的に応じた材質の微粒子(20~200μm)を圧縮性の気体に混合して高速衝突させる表面改質技術です。
これにより、金属表面の温度をA3 変態点以上に上昇させる熱処理効果(極微小時間で急熱・急冷を繰り返す)と鍛錬効果による加工強化が同時に行われ、表面層の残留オーステナイトの加工誘起マルテンサイト化や、金属組織の微細化・硬度上昇・圧縮残留応力の付与により、緻密で靱性に富む組織が得られ、疲労強度を大幅に向上させます。
さらに金属表面にマイクロディンプルが形成されることで、油膜保持性が向上し、摺動部の摩耗を防止するため、機械部品、金型、切削工具などの強度と機能を向上させる表面改質加工技術として、幅広い分野で利用されています。

従来のショットピーニングとの違い

微粒子およびショット材の大きさ

従来のショットピーニング法で使用されるショット材は600 ~ 800μmが主流で処理が行われています。WPC処理の場合は20~ 200μm(主に使用する粒径:55μm)の微粒子により処理が行われています。
両者の粒径比は約1/15ですが、体積比では約1/3000 と微粒子の方が格段に小さくさります。したがって微粒子とショット材の密度が等しく、ワークの単位面積あたりの投射重量を一定とすると、ショット材1個が衝突するのに対して、微粒子の場合は約3000個が高密度に衝突し、ワークの結晶粒1 つ1 つに満遍なく衝撃を加えることになります。

微粒子およびショット材の衝突による痕跡と表面粗さ

微粒子 ショット材 微粒子およびショット材の衝突による痕跡と表面粗さ

微粒子およびショット材の衝突による硬さ、圧縮残留応力、オーステナイト量分布比較

微粒子およびショット材の衝突による硬さ、圧縮残留応力、オーステナイト量分布比較

供試材:SUS304ステンレス鋼板(t=4mm)の表面をエメリーペーパー#400で研磨したもの。
WPC処理条件:50μmの微粒子を噴射圧力0.5Mpa で30s投射。ショット処理条件:800μmの研磨材を噴射圧力0.5Mpa で30s投射

WPC処理で金属表面はどう変わるのか?

疲労強度向上   詳細→

表面の組織を緻密にして疲労強度アップ

キズなどないように見える金属表面を電子顕微鏡で観察すると、目に見えないクラックや材質のムラが存在し、不均一な状態になっています。
金属疲労で部品が破損するという場合、このようなクラックが起点となって破損が始まります。写真は、ギヤに使われるSNCM420浸炭窒化品ですが、異常層という不均質な部分がどうしても存在します。これにWPC処理を行うと、異常層が消滅して、表面から30μm程度の深さまで微細化した高密度な組織になり、疲労強度が格段に向上します。

表面の組織を緻密にして疲労強度アップ

耐摩耗性向上   詳細→

通常の研磨面をミクロ的に見ると、先端鋭角形状が無数に存在した仕上げ面になっています。

WPC処理を行うと、先端鋭角形状部分が消滅して丸いくぼみが作られ、オイル溜まりとなります。

目視ではキレイに見える金属表面も顕微鏡で観察すると、縦にスジが通った研磨痕があり、オイル潤滑するときに、油膜がこのスジに沿って逃げてしまいます。WPC処理では、摺動部の摩耗防止のために、数十ミクロン単位の微粒子を表面に高速衝突させて、マイクロディンプル( オイル溜まり)を形成し、潤滑部の油膜を保持する性能を向上させます。

固体皮膜の形成

白く見えている部分が錫の固体潤滑被膜

低融点、低硬度金属粉体である軟質微粒子( 錫、亜鉛、二硫化モリブデンなど)を高速で材料表面に衝突させることにより、材料表面に固体潤滑剤層を形成させることができます。
これらの被膜の形成により、摺動性・耐熱性・耐食性などを向上させることができます。右写真は、アルミ合金に軟質微粒子の錫を高速衝突させて、錫の固体潤滑被膜を形成させたものです。
これにより、潤滑効果が高くなり、なじみ性・摺動性を向上させることができます。又、WPC処理の複合処理により、さらなる表面改質効果を得ることもできます。

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